メモリ高騰でPC・スマホはいつ買う?2026年の買い時を四半期データで判断
更新: 2026.08.01

この記事のポイント
- 生成AI向けデータセンター需要でメモリ(DRAM)が世界的に逼迫し、DDR5-5600 16GB×2枚は2025年夏の水準から2026年1月時点で約5.3倍の11万円超まで上がった(PC Watch調べ)。PC・スマホの本体価格に転嫁が進んでいる
- 2026年7月18日、Appleが日本国内のiPhone価格を一斉改定。iPhone 17(256GB)は129,800円→142,800円、最安のiPhone 17eも99,800円→107,800円と10万円を超えた。値上げ幅は8,000〜25,000円
- 調査会社TrendForceによるDRAM契約価格の前四半期比は、2026年第1四半期93〜98%増→第2四半期58〜63%増→第3四半期13〜18%増と鈍化。ただし鈍化は「上がり方が緩やかになった」という意味で、下落に転じたわけではない
- 本格的な価格下落は新工場の稼働時期から2027年後半以降との見方が主流で、2025年以前の水準には戻らないとの予測が多い。つまり「下がるまで待つ」戦略は数年単位の待ちを意味する
- 必要に迫られているなら待つ合理性は乏しい。一方、現行機で不便がないなら急いで買い替える理由もない。判断軸は「価格の底」ではなく「今の機材があと何年もつか」に置き換えるのが現実的
パソコンもスマートフォンも値上がりしていますが、「下がるまで待つ」という戦略は2026年8月時点では成立しません。調査会社TrendForceによるDRAM契約価格の前四半期比は、2026年第1四半期の93〜98%増から第2四半期58〜63%増、第3四半期13〜18%増へと鈍化しましたが、これは上昇の勢いが弱まっただけで、下落に転じたわけではないためです。本格的な下落は新工場が動き出す2027年後半以降との見方が主流で、しかも2025年以前の水準には戻らないという予測が多数を占めます。判断軸は「価格の底を待つ」ことではなく、「今使っている機材があと何年もつか」に置き換えるのが現実的です。
目次
「最近パソコンもスマホも高い」は気のせいではない
2026年7月18日、Appleが日本国内で販売するiPhoneの価格を一斉に改定しました。iPhone 17(256GB)は129,800円から142,800円へ、シリーズで最も安いiPhone 17eも99,800円から107,800円へと、ついに10万円を超えています。値上げ幅は機種と容量によって8,000円から25,000円です。
パソコンも同じ状況です。PC Watchの調査によると、自作PC市場で売れ筋のDDR5-5600 16GB×2枚組は、2025年夏の水準から約5.3倍に上がり、2026年1月前半には11万円を超えました。メモリだけで一昔前のノートPC1台分という水準です。SSDも同じ時期に、2025年夏比で約2倍まで上がっています。
完成品のパソコンにも当然転嫁されます。PC WatchがPCメーカー13社に実施したアンケート(11社回答)では、値上げを実施済み、または2026年1〜3月に実施予定と答えた企業が6割以上を占めました。値上げ幅を回答した企業では「11〜15%」と「16〜20%」がそれぞれ2割弱ずつという水準です。
なぜメモリだけがここまで値上がりしたのか
原因は生成AI向けデータセンターの急拡大
引き金は、生成AIの普及に伴うデータセンター投資です。AIサーバーは学習・推論のために大量のDRAMやHBM(広帯域メモリ)を必要とします。メモリメーカーにとってAI向け製品は利益率が高いため、限られた生産ラインをそちらへ優先的に配分する動きが強まりました。
その結果、PC向け・スマートフォン向けに回るメモリの供給が絞られ、需要に対して供給が足りない状態が続いています。TrendForceの見通しでも、サーバー向けDRAMはCPUの世代交代に伴う需要増で2027年まで好調が続くとされており、AI向けの需要が近いうちに引くという想定は置かれていません。
工場は「増やそう」と思ってすぐ増やせない
メモリ価格が上がっているなら増産すればよさそうに思えますが、半導体工場の新設・拡張には数年単位の時間と巨額の投資が必要です。需要が急増しても供給がすぐには追いつかないという構造が、価格の高止まりを長引かせています。
📌 「メモリが高い」=「メモリを買う人だけの問題」ではありません。 パソコンやスマートフォンは本体にメモリとストレージを内蔵しているため、部品価格の上昇はそのまま完成品の価格に乗ります。自作をしない人にも影響が及ぶのはこのためです。
上昇は鈍化した。ただし「下落」ではない
ここが今回のテーマで最も誤解されやすい点です。四半期ごとの契約価格の伸びを並べると、状況は次のように変化しています。
時期 | DRAM契約価格の前四半期比 | 局面 |
|---|---|---|
2026年第1四半期(1〜3月) | 93〜98%増 | 急騰 |
2026年第2四半期(4〜6月) | 58〜63%増 | 急騰の継続 |
2026年第3四半期(7〜9月・予測) | 13〜18%増 | 上昇の鈍化 |
(TrendForce予測、2026年7月7日時点の報道による)
数字だけを見ると「落ち着いてきた」と読めますが、これはあくまで前の四半期より何%上がるかの話です。第3四半期も13〜18%上がる予測である以上、価格は依然として上がり続けています。急騰局面から高値維持の局面へ移った、というのが正確な理解です。NAND型フラッシュ(SSDの中身)も同四半期に10〜15%の上昇が見込まれています。
下がり始めるのは早くても2027年後半
では下落はいつ始まるのか。メモリメーカーの新工場稼働が2027〜2028年に予定されていることから、市場では本格的な価格下落は2027年後半以降との見方が主流です。SK hynixの経営陣は、2027年にメモリ不足がむしろ深刻化し、2030年以降も需要が供給を上回るとの見通しを示しています。
さらに重要なのは、下落局面が来たとしても2025年以前の価格水準までは戻らないという予測が多いことです。つまり「安くなるまで待つ」という判断は、1〜2年待ったうえで、それでも今より少し安い程度に落ち着く可能性を受け入れるということになります。
待つべき人・今買うべき人の分かれ目
以上を踏まえると、判断は「価格が下がるかどうか」ではなく「待つ間の不便に耐えられるかどうか」で決まります。
状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
今の機材が壊れている・業務や学業に支障が出ている | ○ 今買う | 待っても価格は下がらず、支障のコストだけが積み上がる |
サポート終了・セキュリティ更新が切れている | ○ 今買う | 価格以前にリスク管理の問題。先送りの合理性がない |
動作は重いが仕事は回っている | △ 条件付き | メモリ増設やストレージ整理など、本体買い替え以外の延命策を先に検討する |
特に困っていないが「そろそろ数年経つから」 | × 急がない | 買い替え理由が価格変動の話だけなら、動くうちは使い切るほうが得 |
型落ちモデルの在庫が値上げ前価格で残っている | ○ 今買う | 値上げは新規出荷分から反映されるため、旧価格の在庫は実質的な底値になりうる |
「今買う」と「急がない」が同居しているのは矛盾ではありません。待っても報われないので、必要な人は今買い、不要な人はそもそも買わなくてよい、という単純な整理です。値上げ局面で最も損をするのは、「もう少し待てば下がるはず」と考えて、支障を抱えたまま1年を過ごしてしまうケースです。
高値の時期に少しでも損しない買い方
メモリ・ストレージ容量を用途から逆算する
価格上昇はメモリとストレージに集中しているため、この2つの容量選択がそのまま価格差に直結します。「とりあえず大きいほうが安心」という選び方が、これまでになく高くつく局面です。写真や動画を扱わない事務作業中心なら、容量を1段階落として本体の世代を新しくするほうが体感は良くなります。
外付けで逃がせるものは逃がす
内蔵ストレージの容量を上げるより、外付けストレージやNASへ写真・動画を退避するほうが総額を抑えられる場合があります。特に写真データの保管先を検討している場合は、個人向け2ベイNASの選び方|写真バックアップの損益分岐点で、クラウドとの費用比較を含めて整理しています。ただしSSD・HDDも値上がりの影響を受けているため、「外付けなら安い」と決めつけず、時点の価格で比較してください。
値上げの影響を受けにくい周辺機器から改善する
作業環境の不満が「本体の遅さ」ではなく「画面の狭さ」「姿勢のつらさ」に由来しているなら、本体を買い替えなくても解決することがあります。モニターやデスク環境はメモリ価格の直撃を受けにくい領域です。作業スペースの拡張を検討するならウルトラワイドモニターの選び方|34インチとデスク奥行きの現実解も参考になります。
買い替えるなら「次の世代要件」も同時に見る
どうせ今の高い時期に買うのであれば、数年先まで使える構成を選んだほうが、1年あたりのコストは下がります。AI関連機能を前提としたPCの要件については、別記事(PLACEHOLDER_INTERNAL_LINK: ai-pc-npu-worth-upgrading)でNPU搭載PCの要件と買い替え判断を整理しています。
まとめ
2026年のPC・スマートフォンの値上がりは、円安や物価上昇に加えて、生成AI向けデータセンターがメモリ供給を吸い上げているという構造要因に支えられています。TrendForceの予測ではDRAM契約価格の上昇率は第1四半期の93〜98%増から第3四半期13〜18%増へ鈍化しましたが、鈍化と下落は別物で、価格は依然として上がり続けています。新工場が動く2027年後半以降まで本格的な下落は期待しにくく、その後も2025年以前の水準には戻らないという見方が主流です。
したがって、買い時の判断材料から「価格が下がるのを待つ」という選択肢は一度外してかまいません。支障が出ているなら今動く、困っていないなら今の機材を使い切る。この2択で考えるのが、2026年後半の現実的な向き合い方です。
※本記事の価格・予測値は2026年8月1日時点で確認できる情報に基づきます。メモリ市況は四半期単位で見通しが更新されるため、購入前には最新の価格をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q.メモリ価格はいつになったら下がりますか?
A.市場予測では本格的な下落は2027年後半以降との見方が主流です。メモリメーカーの新工場稼働が2027〜2028年に予定されており、それまでは供給が需要に追いつきにくい構造が続くとみられています。SK hynixの経営陣も2027年にメモリ不足が深刻化し、2030年以降も需要が供給を上回るとの見通しを示しています。加えて、下落局面が来ても2025年以前の価格水準までは戻らないという予測が多い点にも注意が必要です。
Q.2026年後半の今、PCの購入は待つべきですか?
A.「数カ月待てば下がる」という見通しは現時点では立ちません。TrendForceの予測ではDRAM契約価格の上昇率は2026年第1四半期の93〜98%増から第3四半期は13〜18%増へ鈍化しましたが、これは上昇の勢いが弱まったという意味であって、価格が下がる局面に入ったわけではありません。今のPCが業務や学業に支障を来しているなら待つ合理性は乏しく、支障がないなら無理に買い替えないのが妥当な判断です。
Q.なぜメモリだけがこれほど値上がりしているのですか?
A.生成AI向けデータセンターの急拡大が原因です。AIサーバーは大量のDRAMやHBM(広帯域メモリ)を必要とし、メモリメーカーは利益率の高いAI向け製品を優先して生産ラインを配分しています。その結果、PC向け・スマホ向けに回るメモリの供給が絞られ、価格が急騰しました。工場の増設には数年かかるため、需要が増えてもすぐには供給を増やせない構造的な問題があります。
Q.iPhoneの値上げもメモリ高騰が理由ですか?
A.複合的な要因とされています。2026年7月18日のApple日本国内での価格改定については、米国での価格が据え置かれたことから、円安による為替の影響が大きいとの見方が報じられています。同時に、AI需要によるメモリ価格の急騰を含む部材コストの上昇も背景として指摘されており、為替要因と部材要因が重なった結果と考えるのが妥当です。
Q.値上がりの影響を避けて安く買う方法はありますか?
A.メモリ・SSDの搭載容量が価格に直結するため、用途に対して過剰な容量を選ばないことが最も効きます。また、値上げ前の価格で在庫が残っている型落ちモデルや、メーカーが長期の部材調達契約で価格を据え置いているモデルを探すのも有効です。PC WatchのPCメーカー13社アンケートでは、値上げを実施・予定と答えた企業が6割以上だった一方、長期の戦略契約で部材を確保しているとして値上げ予定なしと回答した企業もありました。
その他のご不明点がある場合は、お問い合わせページからご連絡ください。
