スマホ新法から半年、外部アプリストアは使うべき?承認6ストアの現状
更新: 2026.08.01

この記事のポイント
- スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)は2025年12月18日に全面施行。iPhoneでもApp Store以外のアプリストアが使えるようになり、ブラウザ・検索エンジンの選択画面(チョイススクリーン)の表示が義務化された
- Appleが公正取引委員会に提出した2回目の報告書(2026年6月1日、対象期間2025年12月18日〜2026年3月31日)によると、承認された代替アプリストアは6つ。AltStore、Aptoide、Onside、Epic Games、DMM GAMES STORE、App Arenaで、日本のデベロッパ50万超が新しい取引条件に同意している
- 目玉のEpic Games Storeは2026年5月1日に日本のiPhone向けに提供開始。約5年半ぶりにフォートナイトがiPhoneへ戻った一方、配信タイトルはEpic自社の3本にとどまり、開発者向けの販売申請システム開放は2026年8月を予定している段階
- 手数料はApp Store配信が基本21%(小規模事業者向けプログラム対象で10%)+Apple決済利用時5%、代替ストア配信はCore Technology Commissionとして売上の5%。Epic Games Storeは12%
- 制度は動いたが、手数料引き下げがアプリ価格の低下として利用者に還元された形跡は乏しい。現時点で外部ストアを入れる実利は「そのストアにしかないアプリを使いたい」場合に限られる
iPhoneでApp Store以外のアプリストアが使えるようになって半年が経ちました。結論から言えば、2026年8月時点で一般の利用者が外部ストアを入れる実利は、「そのストアにしかないアプリを使いたい」場合にほぼ限られます。Appleが公正取引委員会へ提出した2回目の報告書(2026年6月1日)によると承認された代替アプリストアは6つありますが、最大の目玉であるEpic Games Storeですら、配信タイトルはEpic自社の3本にとどまり、他社の開発者向けに申請システムが開くのは2026年8月の予定です。制度は動いたものの、選択肢が実際に増えるのはこれからという段階にあります。
目次
施行から半年、iPhoneで何が変わったのか
スマホソフトウェア競争促進法、通称スマホ新法は2025年12月18日に全面施行されました。AppleとGoogleを指定事業者として、アプリ流通と課金の独占的な仕組みに競争を持ち込むことを狙った法律です。利用者から見た変化は、大きく3つあります。
チョイススクリーン(ほぼ全員が目にした唯一の変化)
施行に伴い、指定事業者にはスマートフォンの初回起動時やOSアップデート後に、ブラウザや検索エンジンの選択画面(チョイススクリーン)を表示することが義務付けられました。NTTドコモやソフトバンクも施行に合わせて利用者向けの案内を出しています。
「アップデート後になぜかブラウザを選ばされた」という経験があれば、それがこの法律の直接的な効果です。多くの人が実際に体験した変化は、事実上これだけと言ってもいい状況です。
代替アプリストアの解禁
App Store以外のアプリストアからアプリを入手できるようになりました。ただし、これは「どんなファイルでも自由に入れられる」という意味ではありません。ストアの運営事業者がAppleの承認を受ける枠組みは維持されており、承認されたストアを経由するという形が取られています。
アプリ内からの外部決済への誘導
アプリ内に記載されたURLから外部サイトの決済へ遷移することが可能になりました。これまでApp Store内の課金に限定されていたデジタルコンテンツの購入について、開発者が自社サイトへ誘導する道が開かれています。
承認された6つのストアの顔ぶれ
Appleが2026年6月1日に公正取引委員会へ提出した2回目の報告書(対象期間は2025年12月18日〜2026年3月31日)によると、承認された代替アプリストアは次の6つです。新しい取引条件に同意した日本のデベロッパは50万を超えています。
ストア名 | 運営 | 位置づけ |
|---|---|---|
AltStore | AltStore, LLC | EUでも先行して展開してきた代替ストア |
Aptoide | Aptoide S.A. | Android時代から続く老舗の代替ストア |
Onside | Onside.io B.V. | |
Epic Games | Epic Games Sweden AB | フォートナイトを擁する最大の目玉 |
DMM GAMES STORE | DMM.com LLC | 国内事業者による参入 |
App Arena(あっぷアリーナ!) | BBSSとの提携によるAptoide | 国内向けに展開される日本語ストア |
顔ぶれとしては、EU市場で先行していた事業者と、国内のゲーム・コンテンツ事業者が並んでいます。汎用のアプリ流通というより、ゲームとコンテンツ配信が中心という性格がはっきり出ています。
目玉のEpic Games Storeも、まだ「3本」
2026年5月1日、Epic Games Storeが日本のiPhone向けに提供を開始しました。これにより、約5年半ぶりにフォートナイトがiPhoneへ戻ってきています。ロケットリーグ サイドスワイプ、フォールガイズも遊べます。
ただし、提供開始時点で配信されているのはEpic自社のタイトル3本のみです。他社の開発者がこのストアで配信するための販売申請システムが開放されるのは2026年8月の予定で、それまでは招待制で運用されています。
📌 「解禁された」と「選べるようになった」は別の話です。 制度上は複数のストアが並立できる状態になりましたが、実際に品揃えが競争するレベルに達するには、開発者側がそのストアへ配信する動機を持つ必要があります。2026年8月以降に他社タイトルがどれだけ集まるかが、実質的な分岐点になります。
なぜ「無風」と言われるのか
この法律は施行前、Appleのビジネスモデルを大きく揺さぶるものとして注目されました。しかし施行後の評価は、「関心が薄く無風」という厳しいものになっています。
理由は手数料の構造を見るとわかります。スマホ新法への対応として、Appleの手数料体系は次のように整理されました。
配信経路 | 手数料 |
|---|---|
App Storeで配信 | 基本21%(小規模事業者向けプログラム対象は10%) |
上記でApple決済を使用 | さらに5%を加算 |
代替ストアで配信 | Core Technology Commission(CTC)として売上の5% |
Epic Games Storeでの販売 | Epic側の手数料12%(Unreal Engine使用作品は使用料5%を免除) |
開発者から見れば、従来の一律30%と比べてコスト構造は変わりました。しかしそれがアプリの販売価格の引き下げとして利用者に還元された形跡は乏しいのが実情です。手数料が下がった分は、開発者の利益や開発投資に回ることが多く、店頭価格に相当するアプリ価格が動くとは限りません。
利用者の側から見れば、選択画面が1回増えただけで、支払う金額もアプリの品揃えも実質的に変わっていない――これが「無風」と評される理由です。
外部ストアを入れる前に確認したいこと
とはいえ、App Storeの審査を通っていないアプリが流通しうる状態になったこと自体は事実です。外部ストアの解禁に伴い、マルウェア感染、フィッシングによる詐取、プライバシー侵害のリスクが相対的に高まる可能性は指摘されています。加えて、独自決済やマイナーブラウザの脆弱性など、アプリストア以外にもリスク領域が広がったという指摘もあります。
判断の実務としては、次の3点を確認するのが現実的です。
1. 運営主体がはっきりしているか
承認された6ストアはいずれも運営法人が公表されています。逆に言えば、運営元がわからないストアを、SNSや広告のリンクから入れるのは避けるべきです。「あのストアなら公式サイトから入手できる」という形が取れないものは対象外と考えてください。
2. 決済情報をどこに渡すことになるか
外部決済が解禁されたことで、Appleを経由しない支払いが発生します。返金・キャンセルの窓口がAppleではなくなる点、カード情報の管理主体が変わる点は、あらかじめ理解しておく必要があります。詐欺目的の偽決済ページへ誘導する手口は他の領域でも増えており、支払い直前にドメインを確認する習慣が有効です。この種の手口については別記事(PLACEHOLDER_INTERNAL_LINK: sms-phishing-2026-tactics-and-defense)で整理しています。
3. アプリの更新が継続的に届くか
セキュリティ上の修正は、アプリが更新され続けて初めて届きます。小規模なストアが配信を停止した場合、そこから入れたアプリの更新経路が失われる可能性があります。長く使うアプリほど、配信元の継続性を見る必要があります。
使うべき人・様子見でいい人
こんな人 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
フォートナイトをiPhoneで遊びたい | ○ 入れる価値あり | Epic Games Store経由が唯一の手段。目的が明確 |
DMMなど特定サービスのアプリを使いたい | ○ 入れる価値あり | そのストアにしかない配信物が目的なら合理的 |
「アプリが安くなるらしい」と聞いた | × 様子見でよい | 手数料引き下げが価格に反映された形跡は乏しい |
品揃えが増えたか見てみたい | △ 2026年8月以降に再確認 | Epicの他社向け申請開放が実質的な分岐点 |
セキュリティに不安がある | ○ App Storeのままでよい | 使わないという選択に不利益はほぼない |
外部ストアを入れないことによる実害が現時点でほぼない、というのが一番重要な結論です。目的のアプリが具体的にあるなら入れる、なければ急がない。この基準で十分です。
まとめ
スマホ新法は2025年12月18日に全面施行され、iPhoneにも代替アプリストアとチョイススクリーンがやってきました。Appleの報告書では6ストアが承認され、50万を超える国内デベロッパが新条件に同意しています。制度としては確かに動きました。
しかし利用者の実感という点では、Epic Games Storeの配信タイトルが自社3本にとどまり、他社向けの門戸が開くのが2026年8月という状況が示すとおり、選択肢の実質的な拡大はこれからです。手数料の引き下げもアプリ価格には表れていません。「使わないと損をする」段階にはまだ達していないため、目的のアプリがある人だけが入れる、という向き合い方で問題ありません。
※本記事の内容は2026年8月1日時点で公表・報道されている情報に基づきます。代替アプリストアの承認状況や配信タイトルは変動するため、利用前に各ストアの公式情報をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q.iPhoneでApp Store以外からアプリを入れられるようになったのですか?
A.はい。2025年12月18日に全面施行されたスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)により、日本国内のiPhoneでもApp Store以外の代替アプリストアが利用できるようになりました。Appleが公正取引委員会に提出した2回目の報告書によると、2026年3月31日時点で承認された代替アプリストアは6つです。ただし、任意のファイルを自由に入れられるわけではなく、Appleの承認を受けたストア経由という枠組みは維持されています。
Q.承認された代替アプリストアにはどんなものがありますか?
A.Appleの報告書(2026年6月1日提出、対象期間2025年12月18日〜2026年3月31日)に記載されているのは、AltStore、Aptoide、Onside、Epic Games、DMM GAMES STORE、そしてBBSSとの提携によるApp Arena(あっぷアリーナ!)の6つです。このうちEpic Games Storeは2026年5月1日に日本のiPhone向けに提供が始まり、フォートナイトが約5年半ぶりにiPhoneへ復帰しました。
Q.外部アプリストアを入れると危険ですか?
A.App Storeの審査を通っていないアプリを入れられるようになる以上、マルウェアやフィッシングのリスクは相対的に高まります。ただし現状の代替ストアはAppleの承認を受けた事業者が運営しており、無審査で何でも入るという状態ではありません。判断の実務としては、ストアの運営主体が明確か、決済情報をどこに渡すことになるのか、アプリの更新が継続的に提供されるかを確認することが重要です。運営元が不明なストアを、SNSや広告のリンク経由で入れるのは避けてください。
Q.アプリが安くなりましたか?
A.現時点で、手数料の引き下げがアプリ価格の低下として利用者に還元された形跡は乏しいのが実情です。App Store配信の手数料は基本21%(小規模事業者向けプログラム対象で10%)、Apple決済を使う場合はさらに5%、代替ストア配信ではCore Technology Commissionとして売上の5%という体系になりました。開発者側のコスト構造は変わりましたが、それが販売価格に反映されるかは各開発者の判断に委ねられています。
Q.ブラウザの選択画面が出たのはこの法律のせいですか?
A.そのとおりです。スマホ新法により、指定事業者であるAppleとGoogleには、スマートフォンの初回起動時やOSアップデート後にブラウザや検索エンジンの選択画面(チョイススクリーン)を表示することが義務付けられました。2025年12月18日の施行に合わせて、NTTドコモやソフトバンクも利用者向けの案内を出しています。多くの人が実際に目にした唯一の変化がこれだと言えます。
その他のご不明点がある場合は、お問い合わせページからご連絡ください。
